「1人ずつの名前を並び変えたんだ。

奏は“奏でる”だから“PLAY”
勇人は“勇ましい”だから“EPIC”
進は“進む”だから“ADVANCE”
慶介は“慶ぶ”で“CONGRATULATE”
卓哉は“卓越”で“EXCEL”。

全ての英単語の頭文字を取って……って強引すぎたか?」



単語と説明を素早く書きながら説明した頼城先生が、不安そうにあたし達を見た。



「ピース……だよな。強引だし、ちょっとダサいけど、良いんじゃね?」



勇人の明るい声につられてみんなが笑顔になる。


頼城先生も、少しはにかんだような笑顔を見せた。



「本当はもう少し格好良い名前を考えてやりたいんだが……俺にはこれが精一杯だな」



先生は、申し訳なさそうに笑った。


でも、こんな短時間で、あたし達の名前の漢字と英単語を結び付けて

頭文字を並び変えちゃうなんて、やっぱり先生はすごいと思う。



「PEACEは平和って意味だろ?
でもそれだけじゃなくて、穏やかで変わりない様子とか、安らかにやわらぐこととかって意味もある。

音楽で、文化祭のお客さんを穏やかな気持ちにさせてやってくれよ」



「任せろっ!頼城ちゃん!」



先生の顔から、静かに笑みが消えた。



「勇人、ちゃん付けはやめろ!責任者やらねーぞ」


「あーごめんって。隆夢ちゃん!やめないで」


「……勇人くん?」


「だぁあああっ!!」