高いけど可愛らしい声は、あたしとは少し違うタイプ。



ぱっと隣に目を向けると、にっこりと微笑む女の子がいた。



ふわふわした長い茶色の髪と白くて華奢な体は、その声にもぴったりで羨ましい。



「聞いて……たんですか?」


「うんっ!綺麗な歌だったから、つい。それに、同い年!」


「へ?」



目を見開いたあたしを見て、女の子は微笑んだ。



「この資料に書いてあったから。私は鈴木さゆみ。よろしくね、押端奏ちゃんっ」



初めに配られた今日のスケジュールの書かれた紙をひらひらさせながら笑う彼女はすごくきらきらしてて……


この子はどんな歌を歌うんだろうって考えたら、どきどきした。



「そっか。こちらこそよそしく。あ……でもごめんね。あたしは、さゆみちゃんの歌聴いてなくて……」


「あぁ。気にしないで! 私だって、たまたま奏ちゃんの歌だけ聴いたの。

それで、話してみたくなって。だってあの歌……リアルでしょ?」


「リア……っ!?」



耳元で小さく囁かれた言葉に、また思わず目を見開いた。



びっくりしてさゆみちゃんを見ると



意地悪そうに頬を上げて「あれ?図星?」なんて呟いてる。



うわっ……引っかかっちゃった感じ!?



「ねぇねぇ、彼はどんな人? 付き合ってるの?」