「え……ちょっと怖くないですか?」



肩をすくめながら先生を見つめる。


不安そうにするあたしとは対照的に、先生はにっこりとわらった。



「何かあったら適当に助けてあげるから、今ここでかけちゃえば良いんじゃない?

1人の時にするよりも心強いでしょ」



そう言われちゃうと、何だかかけ直しても平気な気がしてきた……。



レッスンの間は眉間にいつも皺が寄ってるような、強そうな感じなのに

終わった途端にふわふわした表情になる先生は、何だか可愛らしい。



性別も年齢も全然違うけど、オンとオフの切り替えが上手なところは頼城先生に似てるかも……――――



そんなことを考えていたら、手の中でケータイが震えた。



「あら、さっきの番号じゃない!早く出ちゃいなさい!」


「あ……はいっ!」



慌てて小さく頷いてから、あたしは思い切ってボタンを押した。



大丈夫っ!


いざとなったら……先生に助けてもらえば良い、よね?



「もしもし……」


「こんばんは。繋がって良かったです! 私、RNCコーポレーションの高崎と申します」


「……はい」



……誰?



心配そうにあたしを覗き込んだ先生に視線を移してから、あたしは少し首を傾げた。