ワイパーを動かしてない窓に、ぽつぽつと丸い跡が流れる。
音まで立てて落ちる水滴は、何だかその存在をアピールしてるみたいで……
ものすごく空しい。
「そろそろ帰るか。雨がひどくなると面倒だし、もうだいぶ暗くなったしな」
「はい」
静かにそう言った頼城先生に、あたしはこくん、と頷いた。
それに合わせて、先生の腕が車のキーに伸びる。
くるっとひねられる腕。
かちっとはめられたシートベルト。
軽くハンドルに載せられる手。
後ろを確認するためにぐいっと伸びた背中。
全部の動きが、とてつもなくゆっくりと、スローモーションで動いてるように見えた。
そのくらい、先生との時間は濃くて……
大切で……
あっという間だった――――
「いきなり雨なんて、びっくりしちゃいますね」
「そうだな……。みんながちゃんと帰った後で良かったけどな」
そう言うと、先生は少し笑った。
ここから、あたしの家なんて本当にすぐだ。
信号もないし、車だったら5分もかからない。
そんなことを考えながら、先生と小さく会話を続けた。
「あ……」


