叶わないと嘆いた日々は
何とも脆くて弱かった
離さないと誓った今日は
確かに強く愛しいけど
カーソルでも合わせましょうか
向かう先にねらいをさだめ
がむしゃらにでも走れるように
駄目なことなんてどこにもない
今を大事にしていればいい
素直になるのも楽じゃないけど
きっと手にすると誓ったから
抱き着き輝き歌うよ secret love
欲も希望も縦に流そう
出てきた心を胸に秘め
もがいてもまた歩めるように
僻み泣くことなど何もない
見つめて信じて歌えばいい
続く未来はわからないけれど
できたを増やそうと決めたから
素顔で紛いも歌うよ secret love
普段話す時とは違う、高くも低くもない声が、すーっと伸びた。
静かに、でもがっちりとそれを支えていた演奏が優しく響く。
そういえば……
奏がさっき言ってた“大切な人”
あの文化祭で、この歌はそいつに届いたのか……?
例えばPIECE全員に宛てた歌なら、“ラブレター”なんて言い方はしないだろ。
“恋歌”なんて題名は、つけないだろ。
……って、何考えてんだ、俺――――
演奏が終わって、奏が伏せていた視線をまっすぐ前に向けた。
奏の雰囲気が違うのは、桐渓さんの仕業だろう。
いつもと違って無造作に巻かれた毛先が、ふわっと揺れた。


