「彩乃……」


「一生懸命勉強した自分を、『頑張ったね』って褒められるようになって大学に行かないと……

だらだら4年間過ごして、後から後悔するだけだと思うの。

あたしの性格的にも、絶対やらなきゃ後悔するから」



にこっと笑う彩乃を見たら、あたしは何も言えなくなった。



だって、彩乃は今、ものすごくキラキラしてる……――――



自分と向き合って、自分が一番納得できる道を選ぼうとしてる。


諦めないで、いる。



それって、こんなにカッコイイことだったんだ……――――



「だから勇人?
周りの女の子に目移りしてないで、ちゃんとあたしを待ってなさいよ!」


「当たり前だろ。俺は彩乃以外に興味ねーから」


「仲が良くて何よりだな。頑張れよ、桐渓さん」


「はいっ」


「よし! じゃあもう1回乾杯しようぜっ!」



そう言ってコップを持つ勇人に、あたし達も続く。



紙のコップだから音なんてならないけど……


入ってるのもお酒じゃないけど……



そんなアンバランスさが、何となくあたし達にはぴったりな気がした。