黒板の目の前の席に座った奏に合わせて
近くの机に軽く体を寄せる。
ゆっくりと聞いた俺に、奏が下から目線を合わせた。
「合格、でした……」
響いた声に、思わず頬が緩んだ。
その内容になのか、音になのかは……定かじゃない。
「おめでとう。よくやったな。……俺も、嬉しいよ」
「ありがとうございます」
もう少し気の利いたことを言えないのか、俺は……
そう思ったけど、優しく微笑む奏を見たら、何故かほっとした。
「本当に、頼城先生のおかげだと思ってます。
センターまでも、その後も、勉強面では不安もありましたし。
あたしは、進路の相談にも乗ってもらいましたからね」