近づいてきた教室を見ると、入り口のドアが閉まってた。



暗い室内の様子から考えて、中にはもう、誰もいないんだと思う。


……他の教室にも、残ってる人はいないみたいだしね。



そんな様子を少し寂しく思いながら、自分の足元を見ながらゆっくり歩き続けた。





「……っ、…………奏?」


「え……何で?」



3年9組

目指していたその教室のドアが、いきなり開いた。



ガラガラという音と共に視界に飛び込んできたのは、黒いズボンと靴。


こんな距離で聞くのは、久しぶりかもしれない。



「頼城先生……」



突然訪れた状況に、自然に心臓の音が大きくなった。