「彩乃、彩乃の番だよ。森田先生が呼んでる」


「おっけー。奏もお疲れ様。今日はもう帰るの?」


「うん。そうだね……。
今から帰ろうかな。これから学校に残っても、半端な時間になっちゃいそうだし」



窓から外を眺めると、もうすでに真っ暗になっていた。



「そっか。じゃあ、気を付けて帰ってね! また明日」


「うん。彩乃も面談頑張ってね!」



軽く手を振り合って、お互いに背を向ける。



とりあえず

面談が無事に終わったことにほっ、とした。



どうしようもなく消極的だったあの頃に比べたら、今の自分はずっと前向きで、ずっとずっとマシだと思う。



まだ、この先自分がどんな人生を進んでいくのかなんてわからない。


でも、確かに今、あたしはその分岐点にいると思う。



あたしにできることを

あたしらしいやり方で

少しずつでも取り組んでいこう。





そんなことを考えながら、あたしは静かになった校舎を出た。