授業が終わって、先生が教室を出て行った。


少しの間、授業の余韻を残すみたいに静かになった教室。



でも、誰か1人がすっと口を開くのと当時に、教室中に賑やかさが広がった。



「奏、眠そうだけど、大丈夫? 家で無理してるんじゃない?」



心配そうに、あたしの顔を覗き込んでくれた彩乃に、あたしは軽く笑顔を向けた。



「大丈夫だよ。ちょっとこの席があったかいから眠くなっちゃっただけ。

それよりも、彩乃の方が心配なんだけど……。いつも、夜遅くまで勉強してるんでしょ?」


「まぁ……前よりは睡眠時間も減ったわよ。でも、このくらいだったらまだ大丈夫。

今はこれでもか!ってくらい無理しとかないとね。こんな風に無茶ができるのは、今だけなんだから」


「そだね。あたしも、もっと頑張らないとダメだよねー!」



そう言って彩乃を見上げる。


すると、にやりとした笑顔を向けられた。



「そうそう。眠いー、なんて言ってる場合じゃないわよー?」


「え?」



不思議そうな顔をするあたしに、彩乃がぐいっと顔を寄せる。



「次の授業は、あの隆夢ちゃんだしね」


「う、うるさいっ!」