「1回しか言わないからな。それに、他言無用だ」
誰かに言うつもりもなかった。
独り言としてでも、口に出すつもりなんてなかった。
「高校生の頃、彼女がいたんだよ」
でも、勇人の明るくて、それでいて落ち着いた声と雰囲気が
自然に言葉を引き出していた。
「一緒の大学に行って、それからも付き合ってて……大学2年の終わりに振られた」
『それが“知り合い”とどう関係あるんだよ?』
「3年の春に、“知り合い”が新入生として来たんだよ」
『は?』
一度イスに座ってみた。
それなのに、何故か落ち着かない気がして、また立ち上がった。
「そいつは高校の同級生で、仲の良い“友達”だった。学部は違ったけど、志望大学も同じだったしな。
まぁ、偏差値でいうと、もちろん俺の通ったところの方がレベルは高かったんだが?」


