「奏ー? 何つぶれてるのよ!図書室行くでしょ?」


「うーん……」



体を支配するけだるさに身を任せていると、彩乃がばしっ、と背中を叩いた。



「だったらもっとしゃきっ、としなさいっ!こんなとこでぐだぐだしてたら掃除の邪魔よ!

図書室だって席がなくなっちゃうんだから」



仁王立ちで力強く言った彩乃は、ちょっと怖い……



あたしが座ってるから、いつもより背が高く見えるんだよね。



軽く息を吐き出してから、あたしは「うん」と言って立ち上がった。



鞄に教科書や参考書を詰め込んで歩き出す。