「あ……はい。
あたしの成績だと、まだ選ぶなんて大層なことはできないけど……」


「今はまだ夏休みだろ?そんな風に深く考えなくても良い。

希望はとりあえず高く持っておいて、それが確実に叶わない状況になってから悩め。

今悩む時間は、もったいないだけだ」



頼城先生は、目元を優しく歪ませた。


その表情に、胸がきゅん、となる。



真っ黒に統一された服装とは裏腹な、淡い暖色系のオーラをまとう先生。



そんな人だから、あたしは諦められなかったんだと思う。



「そうですねー……。悩んでる前に、勉強しなくちゃ……ですよね?」


「あぁ。もちろん、PEACEの方もよろしく頼むぞ?」


「わかってます」



あたしは、精一杯の笑顔を頼城先生に返した。