にっこりと微笑みかけると、母親は料理を再開した。

それを見届けてから、2階に続く階段をのぼる。


とん、とん、と、自分の足音だけが響く感覚は、何か奇妙だ。



木製のドアを押し開けて、あたしは静かな部屋の中に足を踏み入れた。



ぼんっ、と通学鞄をベッドに投げ出す。


そのままイスに座って、机の上に置いてあった冊子を手に取った。



学校で配られた太い冊子には、いろんな大学の情報がまとめてある。


学部。

学科の種類。

特徴。

偏差値。

生徒の男女比。

校風。



あたしは何となく、その冊子をめくり続けた。