「とっとといってらっしゃい!

隆夢ちゃんが可愛い生徒の質問を馬鹿にするような外道じゃないことくらい、奏だってよーくわかってるでしょうが!」



そう言うと、彩乃はあたしの腕をいきなり引っ張った。



「へ? ちょっと……彩乃?何!?」



そのまま、勝手に職員室のドアをノックする。



「失礼しまーす! 頼城先生に用事があるんですけど、よろしいでしょうか?」



大声でそう叫んだ彩乃は、一気にドアを開いて、あたしを職員室の中へ放り込んだ。



バランスを崩したあたしの体が、ぐらっと揺れる。



「あれ?今、桐渓さんの声がしたような気がするんですけど……」



そっか。

今は敬語モードなんだっけ……。



こんな風に思うのも、PEACEのおかげなんだなって思ったら、心臓が少し跳ねた。