「あら、もしかして彩乃ちゃんも頼城先生ラブな感じ?
それは傷つくんだけどなぁ」



あたしの気持ちを全てお見通しで、意地悪を言う勇人。


それが可愛いなんて……あたし相当ハマってるな。

そう思いながら、勇人を見る。



優しい目をした勇人と視線が重なって、あたし達は一緒に笑った。




「あっ、今日、彩乃の家行っていい?」


「いいけど、何で?」


「何で?って、今日は彩乃パパの48回目のバースデーだろ?
……もしかして忘れてたのかよ」



本気で忘れてたあたしは、返す言葉もない。


父親の年令まで覚えてる勇人にも驚いた。



「未来のお父様に親孝行しないとなー。つーわけで彩乃!寄り道してケーキ屋行くぞ!」




さらっと恥ずかしいことを言う勇人。


でも、そんな勇人の言葉や表情を本当に愛しく思う。






あたしは待ってるから。

諦めるのなんて、諦めなさいよ……―――





久しぶりの親孝行と勇人の発言に胸を弾ませながら

あたしは勇人を追った。