「あのさ……。これ、1曲だけ完成したんだけど……見てもらっても良いかな?」



いつもの時間。

いつもの音楽室。



練習のために着々と楽器の準備を始めるみんなに、あたしは小さく声を掛けた。



「まじ!? どれどれ?」



楽しそうに近づいてきた勇人に、あたしは楽譜と歌詞を渡す。



六濱くんは、勇人の手からすっと楽譜を取ってキーボードの所へ行った。



明るい音を集めて、八分音符を重ねたメロディー。


ゆっくりとした曲調ではあるけど、できるだけ軽くて、楽しくなるようにしたつもりのこの曲。



そうすることで、みんなのあったかくて、優しい空気を表現したかったんだ……。