夜。

あたしは1人で部屋にいた。


そっと、今までに作った歌が書いてある五線譜のノートを開く。



きっと、これはチャンスなんだ……。



今だからこそ、そんな風に思う。



頼城先生がどうしてあたしに歌作りを任せようと思ったのかなんて、やっぱりあたしにはわからない。



もしも彩乃にあたしの過去を話してなかったら

あたしはこの話を断ってたかもしれない。



そもそもこれは、PEACEに参加できたから叶ったことなんだし……



あたしが作るように頼まれたのは2曲。


勇人に比べたら、全然大した量じゃない。



でも、だからこそ



あたしはその2曲に、全力を込めようと思った。





五線譜のノートを、あたしはゆっくりと閉じた。