「……本当に、あたしで、良いの?」
しっかりと聞き取れるのかどうか
自分でもわからないくらい小さい声しか出せなかった。
不安で仕方がないあたしとは対照的に、頼城先生はあたたかく微笑んでいる。
勇人達は
「それも良いかも」
なんて言いながら頷いてるし……
「奏、これはやるしかないんじゃない?」
机に身を乗り出して、彩乃がものすごく楽しそうに言った。
「隆夢ちゃんもこんな風に押してくれるなんて珍しいじゃない!この好意は受け取っておかなきゃ損よー!
しかも、勇人はあてにならないからねぇ」
「はっ? それはなくない!?」
「本当なんだから仕方がないでしょーが! で、どうなの?奏」
前、あたしがシンガーソングライターに憧れてるって話したことも影響してるんだと思う。
本気で応援してくれたあの時みたいに
彩乃は今も本気であたしを後押ししてくれてる。
「どうですか? やってくれますか?」
頼城先生がもう1度、まっすぐあたしを見た。


