吸血鬼の花嫁














既に正午の時間は過ぎていた。美味しい昼食を済ませてカラオケで好きな曲を歌いまくる。そんな時間を本気で楽しんでしまい、当初の目的であった質問をすっかり忘れていた時だった。雛が言ってくれたのは。

「そういえば葵ちゃん、相談したいことって何?」
「え?」
「電話で言ってた話」
「ああ!」

そういえばそうだった!何を普通に楽しく遊んでいるんだ私は!

「う、うん。相談というか、何というかー……」

ようやく思い出したものの、まず何から聞いていけばいいのか悩んでしまう。少しだけ迷ったすえに、私は思い付いた言葉を喋ることにした。

「雛は、恋をしたことってある?」
「え?」
「ほら、例えばだよ?小さい頃にそういえばよく誰かと遊んでいたなー、とか。将来の結婚を約束して、十六歳になったらお嫁さんになるんだーとか。そういう思い出って、なかった?」

具体的すぎる質問内容に、雛の表情が一瞬曇る。
もしかして、何か思い出した?

「葵ちゃん、それってまさかー……」

雛は何かを思い出したのかもしれない。だとしたら王子との関係についても何か――。
ごくりと喉を鳴らし、緊張感が走る中、次の言葉を待って身構えた次の瞬間。