普通に話しを続けるライルド王子に再び頭が混乱する。
何をどうしたら王子様がここに住むことになって、一つ屋根の下で一緒に暮らすことになるの!?こんなふうに考える私が間違ってるとか!?
「すみません。私、頭が上手く回ってなくて。一から説明をして頂きたいのですがー……」
「何をだい?」
努めて冷静さを装い私は発言した。なのにライルド王子は不思議そうに私を見るだけで、言葉の意図がわかっていないように思える。
吸血鬼の世界ではこれが当たり前なのかも知れない。
ふとそう思った。だけど生憎私は人間で、ここは人間の住む世界である。私は理解するため、とりあえず質問をしてみることにした。
「まず、どうして寝泊まりする場所が必要なんですか?」
「この世界にいるため、かな」
「どうしてこの世界にいようとするんですか」
「雛を正式な花嫁として迎えるためだよ」
「雛を?花嫁?」
さっぱり話が見えない。私の頭が悪いせいなのか、ライルド王子の説明が雑なのか。出来れば後者であって欲しいと願う私は頭を痛めた。
……仕方ない。申し訳ないけれど、理解出来るまで王子様には付き合ってもらおう。運が良いことに今はサリエフさんはいないし、ライルド王子も気が長そうだから多分大丈夫だ。
「あの――」
私は再び口を開き、王子に話しかけることにした。
