「華恋?来い?」


夜。


月が出て来てから数時間。


俺は、"KAREN"というネームプレートがかかったドアを開け、華恋の部屋を覗いた。


華恋は俺の声に反応し、ベッドの上から俺を見る。


部屋のドアにノックはしなかった。


もし。


もしもの話。


ノックの音がリビングにいる母さんのところにまで届いたら嫌だから。


兄妹、家族としての用件でノックするなら堂々とする。


俺達の用を、知ってる人は誰もいないけど、この俺達だけの用でしたノックの音は聞かれたくなかった。


「......うん」


静かに笑顔を見せて、華恋は俺の部屋に来る。


俺の部屋に華恋と入ったとき、これはいけないことなのだと、頭が理解してくれる。


だけど...