「お......っ」


「重くないって」


暗闇の中、何も見えないが部屋の中を歩き、華恋をベッドに運ばす。


落ち着いた華恋の体は軽かった。


小さい頃、本当に小さい頃、俺は華恋を抱っこして遊んでた記憶がある。


細い君の体は、男なら誰でも抱き上げれるくらいの重さで、俺はそれを知ってたから"重くない?"って聞こうとする華恋の声を遮った。


「......兄ちゃん」


運んだ華恋の体を、ベッドの上にぽんっと置く。


華恋はつぶやくように俺を呼ぶと、小さな手で俺の手を握った。


小さいくせして温かい君の手。


「...お兄ちゃん......」


「どした?」


「お兄ちゃん.........」


だから何?


喉まで出かかった声を飲み込む。


あぁ。


そっか。


3つめの夜で覚える。


俺が「何?」「どうした?」って聞いても華恋が「お兄ちゃん」と呼び続ける時


華恋は俺を求めているのだと...