それだけで言葉を止める。


一呼吸ついた。


今から俺が華恋に言おうとしているのは、付き合っている恋人同士と同じようなこと。


付き合っている恋人同士でも、こんなにあからさまな会話はしないかもしれない。


だけど...


俺は言おうか。


「昨日みたいに行こ?...ベッド」


この瞬間から、俺達は兄妹じゃなくなる。


付き合ってるわけでもない好き合ってもいない男と女になる。


欲だけに従わされる男女になる。


「......ベッド行かなくても、ここでできるよ?」


華恋は後ろで一本に束ねていた髪の毛を解いた。


解けた髪の毛が、やけに色っぽさを散りばめる。


その色っぽさに吸い込まれるように俺は、華恋に一歩一歩近付く。


一歩一歩と言っても、たったの四歩で華恋の目の前に来れた。


ふっくらと柔らかそうな唇。


淡い赤色の唇。


君の唇に、そっと俺の唇を重ね合わせる。


華恋の唇は温かかった。