そんなこと、もう知ってる。

夜はそんな声出してなかったのに。


「でもさ、もうああいうことはしないよね」


華恋は俺の顔を下から覗き込んで確認する。


昨日の夜と同じこと。


「一生するわけないじゃん。あのことも、早いうちに忘れとけよ?」


俺は華恋に笑ってみせた。


「忘れるのは難しいよ?」


華恋も、意地悪に笑って返す。


この光景だって、会話だって、母さんに見られたら相当やばいと思う。


普通すぎるふうに話してるし。


ためらい、戸惑い、じれったさの1つもない。


「まぁ、そうだよな」


「忘れなくてもさ。2人の秘密にしとこうよ」


兄弟が"男と女"になった時のことを秘密にする。


そうなれば、兄妹としての秘密にはならない。


"男と女"の秘密になる。


「...今日もよろしくだね」