そんなこと、もう知ってる。


最低なわけないし...。
俺は、付け加えられた言葉を無視するようにして、華恋の体を抱き寄せた。

ふわりを風を運んだ可愛らしい香りに、鼻が反応する。



「...なに?」



華恋は俺の胸に顔を埋めされられながら、少しこもった声で聞く。



「......なんでもない」



そう、嘘をついた。
今は、今だけ、この瞬間だけ、この嘘は許して。
あと1分...待っててくれたらほんとのこと言うから。

心の中で華恋に伝え、俺は言葉を噤む。



「嘘だ」

「...うん。嘘。なんでもないわけないじゃん」



華恋に嘘は、突き通すことができなかった。
俺の負け。
感の鋭い妹。



「わたしのこと、嫌んなったでしょ」



"でしょ"
言い切られてしまい。ばつが悪くなる。

こういうときは、感が鈍いのな。