「そーうなんだ」


華恋はつまらなそうに手を後ろに組んで、俺から目を逸らす。


「早めに帰ってくるよ。行きたいとこなんてないし」


「それはお兄でしょ?彼女さんは


行きたいとこいっぱいあるかもしれないよ?」


上半身だけでなく、全身華恋の方を向いた。


直ちゃんよりも低い身長。


...たまらない愛しさ。


「それでお兄振り回されて、帰ってくる時間


遅くなるかもしれないじゃん」


消極的な子ではないけど、人を振り回すような


積極性はないはず。...あの子には。


お昼2人で食えば直ちゃん満足してくれると思うな。


「お兄ちゃんそういうのに、すぐ振り回されるし」


「うまくしゃべって帰って来るから」


一歩、華恋に近づいた。


これから直ちゃんと会うんだ。


このままでいたい。


「変なことしないでね。私と同じ扱いしてあげないでね?


手、つなぐくらいだけ」