そんなこと、もう知ってる。

...素直で可愛い、いい子なんだけど。


「ありがとう」


「...お礼言うんじゃねぇよ」


「どして?」


「ありがとうって言われるようなことじゃないから」


めんどくさいから。


誰かと付き合うって、こんなにあっさりしてたっけ。


直ちゃんは別かもしれないけど、俺は全くドキドキしなかった。


「うん......」


まぁでも、直ちゃんからしたら


あっさりしたことじゃないかもしれない。


俺がどうでもよく受け止めただけで。


告白されたあとの会話の続け方がわからない。


どうやって帰ろうかと考えながら、


周りを行き交う人たちを見てた。


「...」


改めて見てみると、彼氏と彼女で歩いてる人が多い。


仲良さそうに、手つないで。


そんな光景を見て、もし俺が彼女とこうするならって


頭の中で映像を作るけど、隣りに映るのは華恋の姿だった。