そんなこと、もう知ってる。

告白を断るのを申し訳ないとまで思っているのに、堂々と、平然と、嘘をつく。


「......ていうことは?」


寒そうに、コートの裾に手を隠している直ちゃん。


これが華恋だったら、手を握ってやるのに。


これが華恋だったら、抱きしめてやるのに。


これが華恋だったら、温めてやるのに。


「付き合いたい。俺、直ちゃんと付き合いたい」


「本当?」


嘘。


「本当だよ。わざわざ嘘言わないし」


わざわざ嘘言ってるし。


良く言えば、直ちゃんは純粋。


人をうたがったりはしないし、楽しかったりしたら


なんでも笑うし。


嬉しそうに、満面の笑みを向けられた。