地面には雪が積もってて、空は晴れて、風は冷たい日のことだった。


学校が終わって、1人で帰ろうとした時の、学校舎の前。


「かっ......和也くん!」


後ろからかけられた声、雪の上を走る音。


聞き慣れてるような慣れてないような


女の子の声が、俺を呼び止めた。


周りに人はいたけど、女の子の大きな声は


周りの人達の視線を集めたりはしなかった。


「ん?...あぁ、直(ナオ)ちゃん」


俺が振り返った先にいたのは、学校の女子の中で


一番仲が良いってほど仲の良い子だった。


学校行けばだいたい話すような子。


帰ろうと進めた足を止めて、直ちゃんと向き合う。


「どしたの?何かあった?」