家族が帰ってくるのはお昼過ぎてからだろうし、今、このノートを読んでしまおう。


ソファーに座って、『1999.7.21~』と黒い油性ペンで書かれたノートを開いた。


7月21日。7月31日。8月9日。9月5日。10月27日。


いくつもの日付ごとに区切られていたノートの中身。


見るからに母さんの日記。


古いノートだからか、長い間引き出しに詰められていたのか、


ノートの角が折れ曲がっている。


15年経っていないのい、紙が少し黄ばんでいた。


母さんが日記書いてたの知らなかった。


だから余計に興味が湧いてきて、夢中になって日記に目を通した。


書かれていたのは俺達兄妹のこと。


昔の、兄妹関係について。


「...嘘だろこれ」


俺と華恋が幼い頃の話。


2人はある年になるまで、お互いの存在を知らなかったと。


物心ついていなかった頃のことかびっしり書かれていて、俺にはその時の記憶が残っていなかった。