華恋にしてあげてなくて。


微動だにしたら唇が触れるところで、華恋に意味不明の嫌味を送った。


「いっつもバカって言うよね、和也」


近すぎる距離での会話が、体験したことのない形で俺の胸を跳ねさせる。


この距離で話すとか、頭おかしいんじゃないの?ってくらい。


「俺の口癖なんじゃね?お前だけに対する」


近すぎるから、目も合わせにくい。


近すぎて、華恋の顔がぼやけて見える。


「...私だけか」


華恋の目が閉じたとき、2人、唇が重なり合う。


「......んっ...」





今日もたくさん求め合って、出したいだけ声を出して、でも、向かいの部屋の父さんに聞こえないようにして。


行為を終え、まどろむ"女の子"の頭を撫でた。