そんなこと、もう知ってる。

「お兄はね、すぐバカって言うの」


「...そうか?」


「ねぇ、お兄、暑くない?」


少しの前触れもなく話を変えられる。


10月中旬。


長袖がいいのか、半袖がいいのか、服装で悩む時期。


俺ん家の家族は寒がりがいないからまだ、みんな半袖を着ている。


唯一、華恋1人が寒がりだけど、半袖を着ているのに暑いと言うなんて珍しすぎた。


「お前だけじゃねぇの?」


俺は暑くない。


「暑いのお前だけだろ」


華恋も暑くない。


こいつは暑いのだ。


俺に"女としてお兄のこと好き"なんて言うから、変に興奮して体温が上がってるにしか考えらんない。


「そ?......私、部屋戻るね。言い忘れのことで来ただけだし」


華恋は預けた背中を壁から離した。