ラファエルは視線を動かした。
「・・・ジブリール」
視線の先にベヒモスに押されているジブリールの姿が目に入る。
ラファエルは神経を集中させ、風を起こそうとするが、流石に風を起こすまでの力は残ってはいなかった。
ジブリールは何とか水の壁を作りベヒモスの攻撃に耐えてはいるが、ベヒモスの剛腕はその壁をも打ち砕こうとしている。
そして、小さな亀裂が壁に走った。
「ジブリール逃げろ!!!」
瞬間、パシュッと水の弾ける音がした。
「ジブリール!!!」
水の壁は只の雫となり、ベヒモスの剛腕が目前へと迫った。
「あっ・・・」
思わずジブリールは目を瞑る。
次の瞬間、人の肉を突き破る様な鈍い音が聞こえた。
けれど、自分には何の痛みもない。
ジブリールは自分の身体に傷がないのを確かめるように瞳を開けた。
「・・・ラファ・・エル・・?」
自分の目の前にいるのはベヒモスではなく、血だらけのラファエルで・・・
なぜラファエルがいるのか・・
なぜ、血だらけなのか・・・
何も理解出来なかった・・・・・・。
ラファエルはジブリールに微笑むと、力が抜けたように地上へと落下していく。
「いや・・・」
ジブリールは必死にラファエルに手を伸ばした。
「いやああああああ!!!!」


