エデン


───タケル、ヒカルの事頼むわよ。

それが、母さんの声を聞いた最後だった。



父さんと母さんがいた頃はおれ達はビギナ人だった。

そりゃ、何不自由なくってわけじゃなかったけど。住むとこはあったし、食べ物に困った事だってない。

でも、ヒカルの身体を治す為には大金が必要だった。

だから父さん達はマコノムへと出稼ぎに行ったんだ。

マコノムはここよりずっと景気がいいから‥‥。

本当だったらおれたちは伯母さんのとこに預けられる予定だった。

でもおれがそれを拒んだ。

ヒカルは人見知りが激しくて、伯母さんにも全く懐いてなかったから。

そんな環境、ヒカルの身体にもよくない。

ストレスは心臓に負担をかける‥‥



だけど、素直に伯母さんに世話になってた方が良かったのかも知れない。



‥‥あれからもう2年か。

父さんおれ、11歳になったんだ。

ヒカルはもう少しで9歳になる。

おれはまだ子供で、分からない事も出来ない事も沢山ある。

でも、ヒカルの事は絶対に護って見せる‥‥



ヒカルの為なら何だってする‥‥

盗みだろうと何だろうと‥‥‥!!