「このくそガキ!待て!!」
待てと言われて待てるか!
おれは両手に抱え切れるだけの肉や野菜を抱えて走った。
後ろを振り向くと、おれの三倍はありそうな巨漢の中年の男が追いかけている。
うっわ‥‥
あんなのに捕まったら何されるかたまったもんじゃない。
「誰かそのガキ捕まえてくれ!!」
とりあえず身軽さだけではおれの方が上だ。
おれは入り組んだ路地へと入っていった。
ここら辺はスラム街でかなりゴミゴミしている。
いわばおれのテリトリーだ。
案の定、いろんな物に蹴躓いてはかなりイライラしている様子だ。
おれは角を曲がってすぐにあったゴミ箱に身を隠した。
「くっそ!あのガキどこ行った!!」
「とんでもねーガキだな」
ガシャン!と、何かを蹴飛ばす音がした。
恐らく、近くにあるゴミ箱‥‥か?
これじゃなくてよかった‥‥‥‥
思わず冷やりとする。
たく、勘弁してくれよ。
「ま、今回は諦めるんだな。そのうち絶対捕まえてとっちめてやる!!」
バン!!と、さっきより激しい音がした。
‥‥今度は何したんだよ。
てか声が二人‥‥いや三人。
最初より増えてるじゃねーか。
ったく、こんないたいけな少年相手に大の大人がみっともねー。
まぁ‥‥盗んだおれが悪いのかもしんねーけど‥
でもそうしなきゃ生きてけない。
ヒカルを護れない‥‥
おれはヒカルを護るんだ────‥‥


