「どっちにしろ、私はケンタの妄想なのよ。‘雅’なんて、紙の上の人物なんだから」


むすっと白い頬を膨らませる雅。


たしかに妄想と言われればそうだけど、妄想ではなく創造だ。


僕が造り上げた、一人の主人公。


「ケンタには感謝してるんだよ。私を生み出してくれて」


自らが造り出した主人公にお礼を言われるのは、変な気分だった。


僕は、机の上のキーボードに手を伸ばす。


「っ、何してんの!?」