蜂蜜れもん



   * * *


小学生の頃。隣の席の八神楼(やがみろう)に虐められてから男の子が苦手になってしまった。それまで普通に遊んだりもしていたのに。
授業中「教科書貸せ」と言っては落書きされ、苦手教科のときには「そんなのも解けねけのかよだっせぇ」なんて言われたり体育のときなんかは虫を見つけては見せ付けてきて、チビやらデブやら言われ、スカート捲りや理由もなく追いかけられたりした。
それから莉緒の中では男子=怖いになってしまった。家族や友達に相談しても「好きな人ほど虐めたくなるって言うでしょ?」と言われ、先生に相談したら「きっと莉緒ちゃんのこと好きなのよ」同じことを言われた。


「それで、男の人苦手で……」
「気にすんなよ。俺の方こそ悪かったな。手ぇ痛めたんなら山本に保健室付き添ってもらえよ?」

眩しすぎるほどの笑顔で爽やかに去って行く。
少しだけ。ほんの少しだけ莉緒の中で男子の印象が変わった。
とりあえず嫌な思い出はさっさと忘れたいのか授業の準備をする。もちろん教科書はまだ届いていないから愛海が隣に移動して見せることに。

――共学も悪くないかな……

こうして無事全授業が終わってお昼になった。
どこで食べるかは自由。っと言われても教室か保健室くらいで、稀に屋上で食べる人もいるらしい。
気を使ってくれたのか人の少ない屋上で昼食をとることになった。

「いただきまーっす!」

パチンと良い音を出して手を合わせる。
ハンバーグやオムレツにエビフライとポテトサラダ……好きなものしか入れてないから栄養が偏っているのは解る。けど本人は全く気にしてない。

「シュウマイ、美味しそうね」
「みーちゃん食べる!?」
「食べる」

――やっぱり女の子といると落ち着く
――みーちゃん可愛いし

お返しにプチトマトを貰って満足しているとガチャっと屋上のドアが開けられた。