キーンコーンカーンコーン――
「莉緒ちゃん、莉緒ちゃん……」
チャイムが鳴るとゆさゆさ肩を揺さぶって起こしにかかる育。それから数分後に愛海が保健室を訪れて起こしにかかるが中々夢の世界から戻ってくる気配のない少女。そろそろ5分が経とうとしていた。
いくら大きな声を出しても、思い切り肩を揺すっても起きない。起こそうとすると“うるさい”と言わんばかりに肩まで剥いだ布団を頭まで被る。
授業の合間の休み時間は10分しかない。残り数分で終わってしまうから「凄いなぁ」という下らない関心から次第に焦りに変わってくる。
「ここまでして起きない子生徒は初めてだよ」
「こういうときはこうすんだよ」
ついさっきまで保健室にいた楼がまだ眠っている莉緒に跨った。馬乗りにされているのに身を捩ることすらしない。
「こいつ危機感持てよ」ボソっと言うわけでもなく普段の声の大きさで言う。そして頭まで被った布団で剥いで耳元に口を寄せた。すると楼の髪が顔にかかってくすぐったかったのか声を漏らす。
「Good morning.莉緒」
こんなので起きるのかと思っていたが見開くように目を開けた。
寝起きながらも状況を把握するのに時間はかからなかった。違う意味で再び夢の世界へ行こうとする少女に「ちょっと待て」と言って上半身だけを無理やり起こさせる。思いなしか顔は青ざめて見えた。
カタカタと震える莉緒に笑いを堪える楼。どうしたらいいのか分からず突っ立ったままの愛海と呆れて何も言えなくなる育。
「小学生の頃もこのやり方で起きてたよなぁ?」
「いて……」
「あぁ?」
「退いてって言ってるのよ!!!!」
力いっぱい自分の上に乗っている男を押した。よろめいた瞬間ベッドから抜け出して、雑に上履きを履いて出入り口まで走った。
「莉緒! 何でお前は俺を避けんだよ!」
「大嫌いだからよ!!!!」
ガラガラッ――
「え、あ……お取り込み中でしたか?」
「いや、怪我? それとも具合悪い?」
「両方……」
「そっか、じゃあそこのイスに座って待ってて? ……はいはい、いつまでも保健室にいないの。授業始まっちゃうよ」
