これといって勉強が出来るわけでもなければ運動神経がずば抜けているわけでもない普通の女の子、西園莉緒(にしぞのりお)
小学生の頃、隣の席の男の子に虐められてから男の子が苦手になってしまった。それでも少しは克服して彼氏が出来たこともあったが長くは続かなかった。
そんな少女はエスカレーター式の女子中を受験して見事に受かった。これで男子と関わることはないだろうと思っていたのに高校に入ってからは成績は落ちるばかり。なんとか1年はもったが2年が危うく、旭野(あさひの)高等学校という共学の学校へと、夏休み明けという変な時期に転入することになった。


「共学、か……嫌だぁぁあ」

転入前日、莉緒はベッドの上で溜息を吐いていた。
中高一貫ということはクラスのほとんどが、もしかしたら全員が中学からの知り合いということになる。高校から知り合った子でも、もう2年の後半だ。さすがにグループが出来ているだろう。そのグループに入れなかったら1人ポツンというわけだ。

「やばい、登校拒否になりそう」

泣きたくなる気持ちを抑えて明日の支度をしてから布団に入った。