「…俺、嫌われたかな…」
言葉にすると肩がやけに重くなる。

「…佐倉、お前…、」

「んぁー?何だよ」

「由生のキスした女の子ってさー」
俺のセリフを押し退けて、携帯を弄りながら妙に垢抜けた声の春。

「澄ヶ咲高等学院の子だよね。小柄で髪が綺麗でよくジュース買ってる顔ちっちゃい子。」

「…何で、知ってんだよ」
イライラする。

「制服で分かるっしょ?僕、会った可愛い女の子は覚えてるんだよ。コンビニの店員さんの今日してたマニキュアだって覚えてるし?
…あの子可愛いよねー。お嬢様学校で綺麗な髪してるし小顔だし。小さいけどキレイな顔してるし。」

イライラする。


「僕、狙っちゃおっかなー」







「――――駄目だッ!!!!」




勢いよく立ち上がった為に椅子が大きな音をたてる。

騒がしかった教室が静まり、大多数の視線が俺に注がれる。


「…あ、わり」

そう言って席に座り直す。
少しずつ教室の喧噪が戻っていく。

「ははーん」
春はにやにや、苛めっこの瞳で笑っている。
…何だよ。