顔を上げると奈々は
切なそうな顔をしていた。

...なんで...?

「奈々...?」
「んっ?あ、何でもない!」
「そっか...。」

キーンコーンカーンコーン

「HR始まる。」
「あ、私トイレ行ってくる!」
「早く戻ってきなよ。」
「うんっ。」

あわただしくトイレに入って
鍵を閉めると、外から同じクラスの
女子の声が聞こえてきた。

「奈々ってさ、今でも
 空のこと好きなのかな-?」
「分かんな-い、でも告ったの中1でしょ?」

え...?
奈々が空に告った?

奈々は空のことを
好きだったの...?

「付き合ってたらしいけどね。」
「でも1ヶ月で破局でしょ?」
「まぁ、フったのは空じゃん。」

付き合ってた?
空がフった?

話が読めない。
中1って昔のことって意味だよね...。
1ヶ月で破局?

...奈々は...奈々はあの時...。

いつでも相談してねって言ったとき...
笑顔だった...?
違うよね-...。

顔を上げたとき、とっても
切ない顔で、こっちを見てた...。

-...奈々...。



ちょっとずつ私と奈々の距離が
縮まってきたと思っていたのに。

また離れていくなんて嫌だよ...。