「おっはよ-!夏!」
「おはよ。」

昨日の先輩の言葉が心につっかかる。
私だけ特別なんかじゃない。

自分に言い聞かせて
無理矢理納得させている私が居た。

「どうしたの?顔色悪いよ?」
「大丈夫っ!奈々は心配性だなあ!」
「...本当に大丈夫?」
「大丈夫だってば!」

まだ出会って2日目なのに
もう私の全てを知っているような奈々。

気付かれないようにしなきゃ...。

ガラッ

「おっはよ-!」
「お-っす、空!」
「なあ空~。」
「空ってさあ~。」

クラス中の男子が日向君に
吸い寄せられていく。

人気あるんだなあ...。

「...おはよう、夏。」
「おはよう、日向君。」

最高級の笑顔を作って
日向君の方を向いた。

「夏、俺のことそんな風に呼んでだっけ?」
「え?うん。」
「名前で良いよ。」
「え...じゃあ...空?」
「なんで疑問系なんだよ、空で良いから。」

ハハッと笑う空はとてもまぶしかった。

空はまた男子の方へ行ってしまったけど
私はずっと空だけを見つめていた。

「おーい!なーっつ!」
「...え!何!」
「ね、もしかして空のこと、好き?」
「は?そんっなわっけなっいじゃん...。」

やばい。
バレちゃったかも...。

「ふふーん、図星だね。」
「...。」

バレた...。

どうして奈々はすぐ分かっちゃうのかな...。
奈々はイラつくほどのドヤ顔。

「いつでも相談してね。」
「うん...。」
「夏は可愛いからうまくいくよ。」
「...ありがと。」