「...はい...。」
「空君が優しくしてるからって
 調子に乗らないでね?」
「空君は元々優しいんだから!」
「あんただけ特別じゃないからね!」
「...。」

大声で怒鳴られて
こっちは立っていることしか
できなかった。

「もういいよ、行こ。」

先輩たちは
大股で大げさに歩いて
外に出て行った。

っ...。

調子に乗ってなんかないし
特別じゃないことだって
充分分かってるけど
やっぱり、日向君が他の女子に
優しくしてるところを見ると
モヤモヤが胸を覆う。

「...好き...?」

私は日向君のことが好きなのかな?
恋なんて考えたことない。

出会ってからまだ1日もたってないのに。

だからあんなに胸が高鳴るの...?
恋とか、よく分かんないよ...。

「空かっけ-!!」
「自己新じゃね?」
「またかよ、ずりーなー。」

外から日向君のことを言ってる声が聞こえる。

ここから見えるかな...。
日向君の走ってるとこ...。

急いで靴を履いて
外に出てみると-...。

風の動きと同じく走っている日向君が居た。

速かった。
とっても速かった。

まるで私が日向君に恋していく
速度みたいだった...。

日向君の事が好きだと確信した
転校初日の放課後だった-...。