「...日向君...。」
「えっ?あっ!ごめん。」

日向君はこっちを見て
顔を真っ赤にした。
でも、手首は握られたまま。
これを1番離してほしいんですよ...。

恥ずかしすぎるから...。

「あの...手っ...。」
「あっ!ごっごめん...本当ごめん...。」
「いいよ...、日向君、いいの?」
「え、何が?」
「周りの人に...。」

改めて見てみると、先輩らしい人に
囲まれている状態...。
ど...どうしよう...。

「空君、その子だあれ?」
「あ、こいつ、転校生で...。」
「そうなんだあ、名前、なんて言うの?」
「あ、小川夏です。」
「あっそう、よろしくね~。」

先輩、視線が怖い...。
下から上まで見られてる...。

「こいつ、先生の所いくんで。」
「そ。じゃあね、空君。」
「行くぞ、夏。」
「うっうん。」

日向君に夏って呼ばれて
密かに喜んでいる私が居た。

気持ちは正直。

すぐ顔に出てしまう...。

「ん、大丈夫か?顔赤いけど-...。」
「...!!」

日向君の手が私の頬に添えられ
顔が近づいてきた。
距離...10CM...。

やばい、やばい、やばい。

「...っ大丈夫!」

日向君の手を振り払って
そっぽを向いた。

かすかに日向君が切ない表情を
した...気がする...。