喫茶店でこの間と同じ席に座る。
この間にも会った優しそうなマスターさんが、どうぞと言ってくれたから。
「あの、あの人・・・」
「奏汰は今日バイト入ってないんだ」
何だ、そうなんだ。
少しだけ、がっかりしていたらマスターさんが「何か飲む?」って聞いて来た。
「・・・・」
「多分あいつ、すぐ飛んで来るよ」
そう言って微笑んだマスターさんに少しだけ安心して、あたしはホットミルクをお願いした。
案の定、荒ただしくお店の扉が開いたから、思わず笑いそうになった。
彼が立っていたから。
マスターさんが出してくれたホットミルクを飲んでると、隣からの視線が痒い。
あたしが小さく笑いながら
「なに?」って聞くと、彼は慌てて目を逸らす。
それから小さな声で、子供みたいに寂しそうな目で、あたしを見て言う。
「また、雨の日に、か?」
その言葉に驚いて、少し焦った。

