「奏・・・あたし」 「うん、分かってる。大丈夫だから、落ち着け、俺ん家行こう、此処から出よう。」 「・・・ん」 ユイを抱き上げて立たせると、肌けたワンピースの上に俺の上着を着せた。 そして部屋の隅に落ちてた赤い傘と、俺のマフラーを右手に持って、左手でユイの右手を握った。 「行こう」 乱雑に扉を閉めて、アパートを後にした。