きみと猫と僕と。

あと少しで
あんこを抱えることができると思った瞬間、
あんこは
にぎゃああと
びっくりするような声をだして
僕の伸ばした腕を
すりぬけて
床へとダイブしていった。


「ちょっ、何やってんだよ!」

驚いてあんこにそう声をかけるも
あんこは何事もなかったかのように
夏の方へと
とことこと歩いていった。


「何だよ、助けてやろうとしただけなのに」



そう僕が言うと
夏は笑いながら


「猫は、男の人って苦手みたいですよ。
声が低いから。」


「何だ、それ。
俺がお前のこと
半分は助けてやったようなものなのに」


言いながら
あんこを見ても
あんこは一切、僕と目を合わせようとはしない。