* * *

ロッジのキッチンでは、受話器を片手に架凛が誰かと電話で話している。


「……えぇ………わかりました、それとなく話は………」

「ただいまー!」


玄関から聞こえた声を合図に、彼女は無言で受話器を置く。


「ただいま、架凛。じゃーん、お土産!」

「ほらよ。」


机に次々と置かれる袋を見て、架凛はあらあらと手で口元を抑える。


「街、すっごく賑やかだったよ。翠鳳国って素敵なんだね。それに、みーんな緋那にお土産渡すの。」


ちらりと緋那を見上げると、余計なことを言うなとでも言うように、千夜のツインテールを引っ張る。


「普段こんなにもらってこないわよね?…あぁ、もしかして…」

「違う、俺は否定した!」

「えっ、何?何の話?てか髪痛いってば!」


焦り始める緋那に、千夜の髪は更に引っ張られる。

そろそろ殴ろうかと思った瞬間、肩に誰かの頭が乗っかった。