当然、千夜には聞き覚えの無い国々の名だった。

覚えようとしても無駄なことを悟り、彼女は黙って話に集中する。


「国にはそれぞれ、クラフトを持つ者を集めた集団がある。それが騎士団。ここに入るってことは、それなりに名誉なことなんだと。だからみんな、クラフトを欲しがる。」

「それって、産まれた時から持ってるものなんじゃないの?」

「欲しがるんだよ、力を。願いが届くのは運みたいだけどな。だから俺らみたいな強運のやつらは持て囃される。人気者なわけじゃねぇんだ。」


自嘲気味な緋那に気がつきつつも、千夜は先を促す。


「七つの国にある騎士団は、それぞれ任務が違う。翠鳳国なら任務は守衛。ただし目的は七つとも一緒だ。レクエルドの平和を守る。そのために、フィオーレを倒す。」